▼沖縄にはなぜ街のど真ん中にいきなりお墓があるの?
沖縄と本土とは文化や風習で様々な違いがありますが、そのひとつに『お墓』があります。本土と比べて、沖縄のお墓は大きいことがまず挙げられます。そして、市街地の真ん中や至る場所にお墓が存在していることも、沖縄でしか見られない風景です。それを珍しがって、観光客が「これお墓なんですね!」と言いながら写真を撮っているというのを見たことがあるでしょう。実は国際通りも少し道を入ると、古いお墓がたくさん残されています。
今回はそのお話。そもそもなぜ沖縄には市街地、それも街の真ん中にお墓があるのでしょうか。本来お墓は、指定された場所以外、私有地であっても許可が無い場所に建てることは禁止されています。その他、お墓や埋葬には厳しい決まりがあるのですが、これを決めているのが『墓地埋葬法』という、昭和23年に制定された法律です。
なのになぜ、沖縄では至るところにお墓があるのか。それは米軍による統治が深く関係しています。1945年~1972年まで沖縄は米軍統治下にありました。この間、もちろんのこと日本国憲法を始め、日本の法律全てが適用されなかったのです。なので『墓埋法』も当然適用されませんでした。こうしたことから、いわば『合法的』に、個人の土地を中心にたくさんのお墓が建てられていきました。
本土復帰後は墓埋法が適用され、これ以降お墓を建てるには全て許可が必要になりました。しかしそれ以前のお墓は、宗教的観点や独自の風習が考慮されそのまま残されたのです。特に都市部や市街地のお墓は権利者不明になっているものも多く、都市計画や区画整理事業の阻害要因として、現在も大きな課題のひとつとなっています。