映画「洗骨」をみてきました。
「洗骨」とは死者の骨を洗い清める儀式。日本では「墓地、埋葬等に関する法律」により、ほぼ100%に近い割合で火葬が行われていますが、今回の映画の舞台である沖縄県粟国島では複葬(一度葬られた死体の身体の全部の骨になんらかの手を加え、再び葬る葬法【ブリタニカ国際大百科辞典より】)が残っています。
遺体は一旦棺に入れてお墓や洞窟、崖の下などに安置して風葬し、数年後に棺を開けてその骨を洗うのです。洗い清められた遺骨は今度は骨壷に納められ、お墓に安置します。
ひと昔前の沖縄では一般的だったといわれるこの複葬の風習・・・書物で読んだり、聞いたりはしていたものの、映画での「洗骨シーン」に動揺は隠せません。大切な人の朽ちた姿に再会するのは相当な覚悟が必要です。しかも、洗骨を行ってきたのは女性たち・・・というのも驚きです。
では、世界の葬法はどうでしょうか?
複葬の風習は台湾にもあるようです。土葬後に遺体を掘り返し洗骨を施すのです。また、インドネシアやニュージーランド、メラネシアにもみられるそうです。アメリカやヨーロッパでは土葬が主流です。キリスト教ではイエスキリストのように死後の復活を信じているため、肉体を燃やすのはタブーとされているからです。ドイツでは土に還ることができる特殊なカプセルの棺を使用することが義務付けられているそうです。インドのヒンズー教では火葬後の遺骨はガンジス川に流すといいます。聖なる川に流すことで罪や穢れが流されると信じられているのです。
所違えば葬送や埋葬の風習も違います。でも、供養の想いは世界共通・・・。
人は必ず死を迎えます。大切な人の死の儀式を通して家族の絆が深まり、祖先との繋がりを感じ、『自分』という存在をあらためて見つめ直すことができる・・・映画「洗骨」からはそんなことを感じ取ることができました。
おすすめの映画です。ぜひご覧くださいね。