▼『火の用心』!乾燥の季節に入る前に行われる行事『カママーイ』とは?
11月に入ると全国的に北風が強まり乾燥した日が続きます。この時期に怖いのは、やはり『火事』です。例えば江戸時代、各地で大火事が発生し大きな被害が出ましたが、その殆どが冬から春に集中しています。
沖縄でも昔、照明と炊事は火を使っており、なおかつ、消防設備が皆無と言っても過言ではないため、火事は財産や命を奪う非常に恐ろしい災害でした。そんな中、火災防止やその啓蒙のための行事が古くから行われてきました。それが『カママーイ』です。
旧暦10月1日(2018年は11月8日)に行われる行事で、『竈廻り』を意味します。火を使うことが多くなる冬の前に、意識付けとして行われることも特徴です。自宅全体の掃除だけでなく、カマドも念入りに掃除を行い、さらに地域の拝所で火事防止や無病息災を祈ります。昔は琉球王朝の役人が、きちんと火の始末が出来ているか、一軒一軒見回りをしていたそうです。しかし、これは表向きの理由で、財産を隠していないか、贅沢をしていないかという一種の監視という役割もあったとされています。
かつては重要な行事の一つとなっていたカママーイですが、ガスや電気の普及によって火事のリスクが減少したこともあり、行われることも徐々に少なくなってきました。現在では各家庭というよりは集落単位で行われることが多く、各地の字公民館に行くと、区長や自治会長さんを中心に地域住民が参加して、拝所などを廻りお祈りを捧げます。
ところで、火に関する行事は全国各地で行われていますが、沖縄独特の風習が『石獅子』です。お土産で有名な『シーサー』ですね。実はこのシーサーは沖縄ではとても重要な存在とされています。この話については次回ご紹介します。