▼旧暦8月は豊作に感謝する月。その代表が『八月踊り』と『十五夜』
沖縄の9月はまだまだ暑い日が続きますが、かつては実りの秋として、豊作に感謝する時期でもありました。旧暦の8月中旬ごろに当たり、各地で豊作や翌年の豊作を祈願するお祭りや風習が行われています。その代表が『八月踊り』と『十五夜』です。
『八月踊り』は鹿児島や沖縄で見られる風習で、作物の収穫と同時に納税を終えたことの喜びと感謝をしつつ、農民の娯楽として生まれたものとされています。沖縄で特に有名なのは、多良間島の『八月踊り』です。旧暦8月8日から3日間に渡って行われる豊年祭で、獅子舞や棒術、組踊などが上演され、400年の歴史があります。1976年には国指定重要無形文化財に指定されました。
さらに全国的に有名なのが『十五夜』です。本土では白いお団子を盛り付けたものをお供えしますが、沖縄では『ふちゃぎ』というものをお供えします。ふちゃぎは米粉を練って蒸したお餅のようなものに、塩ゆでした小豆をまぶしたものです。小豆には魔除けの効果があるとされ、潰さずに粒のまままぶします。見た目とはうらはら、全く味がしないので、初めて食べた人は「なんだこれ!」と驚くこともあるかと思います。最近は砂糖などで味付けして食べやすくしたふちゃぎが、スーパーなどで並んでいます。
さらに糸満市では『沖縄三大綱引き』のひとつ『糸満大綱曳』が行われます。直径1.5m、長さなんと180mもある大綱を引き合い、五穀豊穣や大漁祈願、家内安全と無病息災を祈り、毎年3万人以上もの人たちが訪れます。
旧暦8月には、豊作や大漁だけでなく、長生きに感謝する行事もあり『命』を考えさせられる風習がたくさんあるんですよ。