お線香なのに『香り』がないのは沖縄だけ?沖縄の線香『ヒラウコー』とは?

お線香なのに『香り』がないのは沖縄だけ?沖縄の線香『ヒラウコー』とは?

「色が黒い!」、「なぜか束になっている!」、「なかなか火がつかない!」、極めつけは「香りがない!」など、カルチャーショックを受けた本土の方も多いのではないのでしょうか。それが沖縄の年中行事には欠かせないお線香『ヒラウコー』です。

漢字では『平御香』と書き、単に『コー』や『ウコー』と呼ばれることもあります。現在本島地域で一番使われているものが、黒色の線香を6本束ねた、長さ約15センチ、幅約2センチのヒラウコーです。デンプン、炭粉、樹皮粉に水を加え、練り合わせたものを成形、乾燥して作られます。香りが全くしないのは、原材料に芳香成分を含まないからなのですが、これは世界的にとても珍しい線香なのだそうです。

 

さらにヒラウコーは、備える本数によって意味合いが違ってくることも、他の地域には見られない大きな特徴です。例えば三本の場合は、お盆やシーミー、法事など、多くの人が集まる行事の際、参加者各自が供える本数で、一人ひとりが神仏や祖先にご挨拶、という意味があります。12本は年中行事の際、その主催者が供える本数となります。また、行事によっては17本、24本という場合もあります。

そして、ヒラウコーを供えた時、燃え方で吉凶を占うこともあります。例えば、火をつけた先端が全体的に均一に燃え、灰が左右に開くように落ちていく様子を『御香ぬ花咲ちょーん(御香の花が咲いている)』といって縁起物としています。

 

また、御嶽やカー(井戸)などでは、火をつけないでヒラウコーを供えることもあります。本来は火をつけてこそのお線香にもかかわらず、このような供え方をするのも沖縄でしか見られない特徴と言えます。

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