【沖縄年中行事】農作物の大敵・害虫を追い払う行事『アブシバレー』とは?
4月から5月は全国にかけて、田植えを始めとした様々な農作物の植え付けが行われる季節です。しかし、せっかく苦労して植え付けた農作物も、災害や天候不良で台無しになってしまう、今と違い昔はこんなことが頻繁にありました。中でも『害虫』は、農薬がない時代、まさしく私たち人間にとっては生き死にに関わる脅威でした。
全国的にもこの時期は『害虫払い』や『五穀豊穣』のお祭りや行事が行われますが、沖縄で害虫払いを祈願する行事が『アブシバレー』で、旧暦4月14日から15日に行われます。『アブシ』は田んぼや畑のあぜ道、『バレー』は払うという意味。害虫を神様の力で駆除、退治してもらいます。地域によってはや『虫流し』と呼ぶところもあります。
アブシバレーの方法ですが、笹などの植物で作った船の上にバッタなどの害虫を乗せて海に流します。これは海の果ての国に虫を送り、さらに虫の発生を神様の力で抑え込んでもらうという意味があります。
また、地域によってはアブシバレーの後、『ウミドミ(海留)』、『ヤマドミ(山留)』といって、約一ヶ月、海や山に入ることを禁止する行事があります。この時期、強いうりずん(南風)が吹き、海が荒れることがあります。ウミドミはこの被害からウミンチュを守る意味もあると言われています。
一方、ヤマドミはこの期間、山から一木一草も採ってはいけないとされています。この時期は若葉が芽吹く季節でもあるので、自然保護の考え方が反映されているとも言われています。