沖縄では、仏壇以外にも定期的に拝みを捧げるものがあります。
それがヒヌカン(火の神)です。
ヒヌカンはキッチンに置かれ、その名の通り「火の神」「竈の神」です。元々は中国の「竈神」からきたもので、その家に住む家族の暮らしを守護します。
旧暦12月24日から天界に昇り天帝にその家の人々の善行悪行を報告し、旧1月4日に家に戻ってくると信じられているため、旧12月24日には御願解き、旧1月4日にはヒヌカンウケーという神迎えの祭祀が行われます。
その家の嫡子(長男)が継ぐ仏壇やお墓と違い、ヒヌカンは母から娘へ、義母から嫁へと女性の中で受け継がれていきます。
今では男性も台所に立ちますが、昔は女性の場所でしたので、女性に近い神様とされてきました。
御神体はウコール(香炉)の灰です。女性が独立すると母が守ってきたヒヌカンのウコールの灰をいただくことで受け継がれてきました。
ヒヌカンへは旧暦の1日と15日に手を合わせます。その際に日頃の感謝やお礼、報告事、お願い事などを伝えるのです。
ヒヌカンは「耳が悪い」と言われているため、拝むときは大きな声でハッキリと伝えることが大切です。声が小さかったりモゴモゴと話すと間違えて伝わることもあるようなので、注意が必要です。
また、お願いと間違われてしまう可能性があるため、ヒヌカンの前で悪口を言うことは禁止です。
ヒヌカンは遠くの神様仏様へ繋がるウトゥーシドゥクル(お通し処)。今で言うスマートフォンやタブレットのようなものでしょうか?