以前、晴明祭(シーミー)のことを書きましたが、今回はその際に墓前に備えられる「ウサンミ」について書きたいと思います。
「ウサンミ」は「御三味」と書きます。重箱に詰められた伝統料理で、元々は中国で生まれた神仏への供物のことでした。
中国ではご先祖様や神々へ捧げる供物として牛・羊・豚をそれぞれ一頭ずつ供える習慣があり、それが久米村へ移住してきた人々によって沖縄に伝えられたと考えられています。
そこから牛・羊・豚の代わりに鶏・魚・豚をお供えし、これを「ウサンミ」と呼ぶようになりました。それがさらに他の地域に伝わっていく過程で供物も豚・魚の2種類となっていったのです。
そして現在は
- 三枚肉
- 昆布の煮物
- 魚の天ぷら
- かまぼこ
- カステラかまぼこ
- ごぼう
- こんにゃく
- 揚げ豆腐
- 田芋のからあげ
などが奇数に詰められます。各地域や家庭により料理内容は変わってきます。そして忘れてならないのがお餅です。
重箱料理は基本的に仏壇やお墓にお供えした後、「ウサンデー」してからみんなで食べるものなので、冷めても美味しく食べられるように作り手側も色々な工夫を凝らしています。
子供の頃はお供えしている重箱やお菓子などを早く食べたくて、大人から「もういいよー」と言われたらすぐ飛んでいって手を合わせ、「ウサンデーサビラ!」と言ってお供物を下げていた記憶があります。
大人になると「ウサンデー」をいただくことがご先祖様や家族親族との絆を深め、繋がりを再認識する機会だったのだな、と思うようになりました。
さて、シーミーもこれからのご家庭もあるかと思いますが、お供物を下げる際には、ぜひ忘れずに
「ウサンデーサビラ!」